多様性。


某スーパーで、寿司を作るバイトをしているので、
家にいてもふっと酢飯の匂いがしたりする。
それは単に記憶が滲み出して脳内で再生された匂いだと思う。
スーパーの寿司は、機械が作った飯玉にチューブのワサビを絞り
解凍した寿司用に加工された刺身を乗せて
少し握って並べていく。
忙しければ、飯玉はダンボールに入って業者から届く。
食べ物を作っているというよりも、
何か商品をパッケージングしていっているようではある。
慣れてくると特に。
あらゆるところが一定の仕組みで動いているのかと思えるけれど
細かいルールがひとりひとりあって、
どんなところにでも、差別化って出てくるもんなんだなぁ〜
などと思ったりする。
品質的にはマニュアルというものが存在するけれど
そのマニュアルに沿って、作るのは、多種多様な人間で
そこまでは管理しきれない。
食べ物は、機械製品よりも、作る人のバイブレーションが乗りやすそう。それが手袋越しの作業でも。
あんなに均一に並んでいるスーパーの食品でも
きっと毎日味が違うんじゃないのかなーと思う。
測りきれない、マニュアル化の隙間に潜んでいる何かが
味を変えるような気がする。
はじめ、ルールだらけの世界に馴染めるかな、と思ったけれど
そのルールを疑わず、仕事に意義とコダワリを見出して
それを生き甲斐にしたら
10年とか続けられるのかもな〜

均一品質大量生産、という世界は、つまらないし
その背景を気にしてしまうと、ざわざわするんだけど
なんだかんだと、そこにお世話になってたりもする。
その矛盾をかみしめつつ、あと数日通うのである。